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野鳥撮影のAPS-Cとフルサイズ


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ここでは、野鳥撮影のカメラにおいて特に重要なセンサーサイズについてお話をします。

 

 

カメラによってセンサーサイズはまちまちであり、個々に説明をするとややこしくなり理解しづらくなりますので、各メーカーで主力となっているAPS-Cセンサーとフルサイズセンサーの比較をすることに重点を置いて説明していきます。

 

 

 

デジタル一眼に限らず、デジタルカメラのセンサーは大きくなるほど元となるシリコンウエハーから取れる数量が少なくなったり、不良品の発生率が高くなるなどの理由により大型のセンサーは非常に高価なものでした。そこで、市場のニーズと価格のバランスを考慮して販売されたのがAPS-Cセンサーです。これはフィルムのAPSカメラシステムの企画サイズに近いことから、APS-Cセンサーと通称として呼ばれるようになったもので、厳密なサイズ規定があるわけではありません。実際にニコンは1.5倍画角、キヤノンは1.6倍画角と主力メーカーでも大きさは異なります。

 

 

フルサイズセンサーについても同様で135フィルム(35mmフィルム)のカメラで広く用いられる 24mm×36mm の受光面積に近いことから35mmフルサイズ、通称としてフルサイズと呼ばれるようになりました。ペンタックス645Dのように更に大きいセンサーサイズを用いているデジタルカメラも存在するので、何に対してのフルサイズかというのは厳密には曖昧な表現となりますが、35mmフィルムの大きさに対して同等のサイズなのがフルサイズと考えれば良いでしょう。APS-Cセンサーのカタログに出ている”35mmフィルム換算で1.5倍画角相当”という表現は、正にこの35mmフィルムを基本に考えているからでてくる言葉なのです。

 

 

 

野鳥撮影におけるセンサーサイズと画素数の関係

 

センサーサイズの違いは、まずレンズの光を受け止める面積の違いになります。その受け止めた面積の光の情報をどの程度細分化しデータとして出力するかが画素数の違いになります。画素数が同じと仮定したフルサイズとAPS-Cセンサーのイメージ図です。

 

フルサイズとAPS-C

 

APS-Cセンサーの方が1画素あたりの面積が小さい分、レンズから受けている光をより細かく分解しています。野鳥撮影においては被写体との距離を詰めるのが難しく、画像を切り取って使用する(トリミング)場合が殆どなので、この図の場合ではフルサイズセンサーのカメラで撮影した画像をトリミングするより、APS-Cセンサーのカメラで撮影したほうがより解像力の高い(画素数が多い)映像が得られると言う訳です。APS-Cセンサーのカメラの方が野鳥撮影では有利と言われる理由がコレです。フルサイズセンサーは面積がAPS-Cの 2.25〜2.56倍もあるので、画素数で少なくとも2倍以上の差がなければフルサイズでAPS-Cの解像力には及ばない計算になります。ではフルサイズセンサーは野鳥撮影では不要なのか?次に考えていきます。

 

 

APS-Cセンサーを使っても・・・

 

APS-Cセンサーなどのサイズの小さいセンサーを使えば、野鳥の拡大効果を得られる・・・。それは間違いではないのですが、野鳥撮影では特に重要な”レンズから受ける光の質”そのものはカメラを変えても変わりません。光の質が良くなければ、いくらセンサーサイズで拡大効果を得ようとも逆に悪い面が目立ってくるなど逆効果にもなります。光の質を上げるには、レンズの性能向上と被写体への接近という要素が欠かせなくなります。少し判りづらい比較サンプルですが、遠い被写体をセンサーサイズの小さいカメラで撮るのと、近い被写体を大きいセンサー撮るときの違いをイメージしてみました。

 

フルサイズとAPS-C
※カワセミまでの距離 上:約20m 下:約10m、どちらも元画像に対し画素数1/4の倍率でトリミング

 

被写体が近くセンサーサイズの大きいAPS-Hカメラの方が、野鳥の質感や立体感が豊かに表現されています。レンズから受ける光の質を向上させずに、センサーサイズを小さくして無理やり拡大効果を得ようとしても解像力が上がるだけで、まるで紙に書いてある野鳥を撮った感じになり、野鳥の質感や立体感は簡単には向上しないのです。やはり、野鳥の生き生きした表情やイメージを得るには、レンズも性能の良いものを使い、そしてある程度は野鳥に近づかなければ表現できません。十分に接近した上でフルサイズセンサーでの野鳥写真は極めて立体感・質感に優れたイメージに仕上がります。

 

 

ニコンD800の衝撃

 

2012年の春にニコンから、D800という3600万画素フルサイズセンサー採用のデジタル一眼レフカメラが発売になりカメラ愛好家の間でも非常に話題となりました。一気に画素数が大幅に増えたことによりAPS-Cセンサーが野鳥撮影で有利という概念が変わるカメラが遂に発売されたといっても過言ではないでしょう。フルサイズで3600万画素ともなると、APS-Cセンサーサイズにトリミングしても1400万画素以上を確保できるので、レンズの光を受ける面積がAPS-Cのカメラの2倍以上に増えたにも関わらずほぼ同等の解像力が得られるということになります。

 

フルサイズとAPS-C

 

APS-C1400万画素と同等の解像力を持ちながら、2倍以上の面積が写るので
D800ならではのさまざまなメリットが存在します

  • 被写体のファインダー導入が楽
  • 飛びモノでもAFエリア内で追い続けるのが簡単になる
  • 鳥はAF精度が高くレンズ解像力の高い中央に入れて撮り、撮った後で構図調整
  • ノートリで撮れるほど野鳥に近づける場合には、解像力・質感・立体感・ノイズの少なさ全てが高次元のバランスで向上する

 

APS-Cには、低価格、シャッターショックが小さい、ファインダー倍率が高い、データが軽い、などのメリットが残るものの野鳥撮影においてはD800には非常に大きな魅力があると言って良いでしょう。D800の魅力をよりわかりやすく理解するために実践的なサンプルデータを用いて他機種と比較してみます。

 

 

比較サンプル

 

EOS-1DX、EOS7D、D3、D800E の4機種を、被写体までの距離10m・使用レンズ400mmF2.8で統一して撮影。モデルはバードカービングのジョビィ君にお願いしました。ジョビィ君の下に付いているのは照度計で、数値は明るさを示しています。同一光量のサンプルデータを得られませんでしたので、今回のサンプルでは明るさやノイズ量は比較できないので参考外です。センサーサイズと画素数による違いのみを参考にして頂ければと思います。(※この撮影時の照度計は×10ルクス設定なので 033 という表示であれば 330ルクスという事になります)

 

フルサイズとAPS-C

 

ごらんのとおり、EOS-1DX、D3、D800E の3機種はフルサイズセンサー使用で被写体までの距離・レンズスペックが同じなのでほぼ同じエリアが写っています。APS-Cの7Dはフルサイズセンサーの3機種に比べて中央部を切り取ったイメージになります。

 

 

続いてその4つの画像データをピクセル等倍に拡大し中央部を600×600で切り取り → 300×300にリサイズしたものを並べてみましょう

 

フルサイズとAPS-C
※電子先幕シャッターを使えないニコン機は僅かにブレています。シャープさの比較ではなく、ジョビィ君の大きさだけに注目してください。

 

いかがでしょうか?EOS7Dの拡大効果はさすがですが、D800Eはフルサイズセンサーでより広い範囲を写しながらこれだけの拡大効果を得られるのが非常に野鳥撮影では有利になるというのがおわかり頂けると思います。

 

 

 

画素数の少ないフルサイズセンサー機は?

 

EOS-1DX や D4 などの画素数の少ないフルサイズセンサー機は野鳥撮影にはどうなのでしょうか?上記サンプルを見る限り、被写体までの距離を詰められない・レンズは変えられないという条件を踏まえると、『 解像力 』という点では不利になります。ただし、被写体に十分接近できる場合にはデータの軽さを活かした高速連写やフルサイズでしか得られない立体感・質感を表現することができるでしょう。一般的に言われている高感度耐性において有利と言うのは、被写体までの距離を詰められない・レンズは変えられないという条件下では一概には言えません。野鳥撮影における高感度耐性については、同一光量・同一スペックレンズ・同一距離で撮影したサンプルデータを用意することで見えてくると思いますので、それは次の記事にて明らかにしていきます。

 

 

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