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野鳥撮影での EOS 5D 変遷


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このカテゴリでは、キヤノンのハイアマチュアモデル EOS 5D シリーズの歴史をたどり、野鳥撮影での機材購入検討の参考になればと思います。

 

EOS 5D シリーズは2005年9月に低価格で入手できる初のフルサイズセンサー機として大いに注目を浴びながら発売されました。低価格といえども当時の価格では35万円以上していたのですが、フルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフカメラといえば EOS-1Ds シリーズしか存在しない時代でしたので、100万円出さないと入手できなかったフルサイズのカメラがついに一般の人でも少し無理をすれば買える時代になったと、キヤノンのデジタル一眼レフの中でも特に人気の高かったモデルでした。

 

EOS 5D シリーズはフルサイズセンサー搭載の最高画質を低価格でというコンセプトを継承しており、ボディの造りは EOS-1Ds シリーズとは明確な差別化が図られていました。特にオートフォーカスやシャッターフィーリングなどは完全に中級機レベルの内容で、少なからずユーザー間でも不評の部分がありました。その後、ニコンから相次いでライバルとなるフルサイズセンサー搭載機が発売され、センサーだけでは見劣りする部分が軽視できなくなってきたため最新の EOS 5D MarkV ではボディ部分にも大幅なブラッシュアップが行われており、完成度の高いモデルとなっています。

 

 

 

 

< EOS 5D >
撮像素子 : 1280万画素COMSセンサー(x1.0倍画角フルサイズ)
ISO感度 : 常用100〜1600(3200まで拡張可)
ファインダー : 視野率約96%、倍率0.71
フォーカス : 9点 + 6点アシスト
高速撮影 : 約3コマ/秒(バッファ:RAW 約17コマ)
記録媒体 : CF
液晶画面 : 23万画素、2.5型
バッテリ : リチウムイオン
ライブビュー機能 : なし
動画機能 : なし
発売時期 : 2005年9月

 

 

2005年当時までフルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフは EOS-1Ds MarkU しか市場に存在せず、廉価版のフルサイズセンサー搭載機の登場が待たれていました。そしてついに発売となった極めてセンセーショナルなモデルで、発売当日は35万のカメラを買いに購入者がお店に殺到したという伝説的なカメラです。ニコンはこの頃フルサイズセンサーのカメラが無いのはもちろんのこと、APS-Cサイズセンサーのカメラでも ISO100 しか使えない画質のカメラだったこともあり、デジタル一眼レフ市場はキヤノンの独占状態でした。この EOS 5D 発売時点がキヤノン一番の絶頂期であったように思います。

 

野鳥カメラマンにとってフルサイズセンサーは少々扱いにくい機種であり、野鳥をこのカメラで撮影するという人は少数派でしたが フルサイズ と APS-C の違いをユーザーに理解させるという意味では、極めて大きな役割を果たしたカメラと言えるでしょう。2008年7月にニコンが D700 を発売するまで、廉価版フルサイズセンサー搭載機はこの EOS 5D のみという状態が3年近く続いていたと言う事になります。

 

 

 

 

< EOS 5D MarkU >
撮像素子 : 2110万画素COMSセンサー(x1.0倍画角フルサイズ、クリーニング機能あり)
ISO感度 : 常用100〜6400(25600まで拡張可)
ファインダー : 視野率約98%、倍率0.71
フォーカス : 9点 + 6点アシスト、微調整機能あり
高速撮影 : 約3.9コマ/秒(バッファ:RAW 約13コマ)
記録媒体 : CF(UDMA対応)
液晶画面 : 92万画素、3.0型
バッテリ : リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)、電子先幕シャッター
動画機能 : 搭載(1920×1080で30p、640×480で30p)
発売時期 : 2008年11月

 

 

EOS 5D の発売から3年。ニコンがフルサイズセンサーの D3 を発売しさらに廉価版の D700 も発売。そして、ソニーからもフルサイズ機が発表されるなど EOS-1Ds を除いてオンリーワンのフルサイズセンサーであった EOS 5D を取り巻く環境は様変わりしていました。そんな中で、キヤノンとしても基幹カメラである EOS 5D の後継機はインパクトのある内容にする必要がありました。そんな状況の中で発売されたのが EOS 5D MarkU です。フルサイズセンサー搭載の最高画質を低価格でというキープコンセプトで登場した EOS 5D MarkU ですが、最大の注目点は当時最高の画素数であった EOS-1Ds MarkV と同じ画素数のセンサーを搭載したという点にあります。

 

EOS-1Ds MarkV は EOS 5D MarkU 発売後大幅に中古価格が下落し、後継モデルの発売は2012年現在も具体的な話がありません。他社との差別化を図るために送り出した EOS 5D MarkU は順調な販売実績を残すものの、上位機種である EOS-1Ds シリーズをもある意味飲み込んでしまうという状況を招きました。ただ、当事ニコンにかなり押されていた状況をくい止めたという点で、このカメラの存在はキヤノンとしてもかなり大きかったのではないかと思います。

 

 

 

 

< EOS 5D MarkV >
撮像素子 : 2230万画素COMSセンサー(x1.0倍画角フルサイズ、クリーニング機能あり)
ISO感度 : 常用100〜25600(102400まで拡張可)
ファインダー : 視野率約100%、倍率0.71
フォーカス : 61点AF(F2.8〜F5.6対応41点クロス + 20点)、微調整機能あり
高速撮影 : 約6コマ/秒(バッファ:RAW 約13コマ)
記録媒体 : CF+SD デュアルスロット(CFはUDMA7対応、SDXC対応)
液晶画面 : 104万画素、ワイド3.2型
バッテリ : リチウムイオン
ライブビュー機能 : 搭載(コントラストAF可)、電子先幕シャッター
動画機能 : 搭載(1920×1080で30p、1280×720で60p)
発売時期 : 2012年3月

 

 

EOS 5D MarkU の発売以降、フルサイズセンサーの市場はしばらく大きな動向がなく3年が過ぎました。そして、2012年に再び大きな動きを迎えることとなります。そんな中で発売されたのがこの EOS 5D MarkV です。ニコンは既に3600万画素のセンサー搭載の D800(E) を発表済みで、発売前から非常に大きな話題を呼んでいました。キヤノンは次はどう出てくるのか?多くのユーザーが注目するなかで、 EOS 5D MarkVは D800(E) の発表後から1ヶ月もしないうちに正式発表が行われました。

 

発表されたスペックは、多くのユーザーの期待した超高画素センサーではなく高感度重視のセンサー搭載でした。ニコンが D700 → D800(E) の変遷が高感度 → 高画素への路線変更であるのに対し、キヤノンは逆のコンセプトを EOS 5D MarkV に採用してきました。しかも、AFシステムも上位機種である EOS-1DX とほぼ同等の61点AFを搭載し、欠点とされてきたボディ性能に関しても妥協の無い内容を詰め込んでいます。

 

かくして、EOS 5D は初代がセンセーショナルなモデルでありましたが、その後はニコンの情勢を常ににらみながらモデルチェンジをしているように感じられます。今回発売となった EOS 5D MarkV は完成度の高いカメラであるものの D800 比では価格が高いこともあり、現状では D800(E) の方が市場ではよい評価を受けているのは間違いない事実だと思います。野鳥撮影でもどちらかというと D800(E) の方が魅力的な部分が多いです。ただし、キヤノンにはキヤノンボディならではの良さを活かした野鳥の撮り方というのも間違いなく存在しますので、当サイト内でもユーザー様に有益な情報をお届けしていきたいと考えています。

 

 

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