野鳥撮影のカメラ選び(EOS-1DX編)
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ここでは、野鳥撮影におけるデジタル一眼レフカメラ(キヤノン製品)の選び方についてお話ししていきます。
エントリー機からフラッグシップモデルまで価格帯も大きく異なりますが、必ずしも高いカメラが全ての撮影シーンにおいて優れているわけではありませんので、各機種の特徴と私の長年の撮影経験から、カメラごとの特徴を活かしたベストな使い方を提案していきます。
それでは、まず購入候補となる2012年11月現在の
現行モデルの価格・簡易スペックをまとめてみます
EOS-1DX | 新品最安:55万程度 フルサイズ1800万画素、秒間12コマ、シーン認識61点AF |
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EOS 5D MarkV | 新品最安:29万程度 フルサイズ2200万画素、秒間6コマ、61点AF |
EOS 7D | 新品最安:9万円程度 APS-C1800万画素、秒間8コマ、19点AF |
EOS KissX6i | 新品最安:7万円程度 APS-C1800万画素、秒間5コマ、9点AF |
※新品最安は”信頼+低価格のお店”として デジカメオンライン さんの価格を参考にしました
気になる高感度画質の比較サンプルは、
別記事にまとめて掲載していますのでそちらも参照ください。
EOS機種別 高感度画質の比較へ
- < EOS-1DX >
- いわずと知れたキヤノンの最高機種です。天候を問わない耐久性をベースに、フルサイズ+最高の高感度性能と秒間12コマの連写性能、シーン認識を備えた61点AFシステムなどが野鳥撮影では特筆すべき項目です。上記、高感度画質の比較では流石に ISO12800 以上の感度ではもっとも鑑賞に耐えうる画質を提供してくれます。設定できる感度は最高 ISO204800 と、このカメラでしか撮影できないシーンも考えられます。
反面、低感度での画質はフルサイズ1800万画素という対距離解像力の低いセンサーが仇となり、下位機種に劣るシーンもあるので万能機種とは言いづらい事もあります。それでは、EOS-1DXで想定される撮影パターンをあげてみましょう。
- タイプ@:高速シャッターで動きのあるシーンを撮る
- 高感度の耐性を活かして高速シャッターを切りたいときは EOS-1DX がベストの選択です。ただし、高感度の耐性は EOS-1DX と言えど上記サンプルのとおり解像力を犠牲にして成り立っていますので、テレコンは使わない、トリミングは基本的にしない(或いは最小限で)状況で撮れる条件が揃うことが使用する前提になります。
レンズも明るい EF400mm F2.8L IS U などを使用するとさらに EOS-1DX のよさが出るでしょう。フルサイズ+明るいレンズの組み合わせになるので、小鳥なら10m以内、猛禽類でも30m以内までは最低近づく必要があります。トリミング前提では解像力の欠如が大きくこのカメラならではの高感度画質の良さが写真に出にくいからです。
- タイプA:高速連写で一瞬のシーンを切り取る
- 秒間12コマの高速連写で、野鳥の一連の動きの一瞬を表現するときに EOS-1DX を使用します。具体例ではカワセミやミサゴのダイビングシーンなどが上げられます。ただし、撮影に際しては一連の野鳥の動きをカメラマンが先に予測できる状況+撮影できる距離にまで近接するという、撮影に至るまでのハードルは極めて高いものが求められます。
本当に限られたシーン以外での撮影は高速連写が必要がない上に、普段から高速連写を多用すると『下手な鉄砲数撃ちゃ当たる』というカメラ頼りの撮影になりがちで、カメラマンの安易な姿勢が写真に出てしまいます。野鳥撮影では、野鳥の動きを見切りそのベストな一瞬に魂を込めるという要素が非常に重要なのです。
動きの見切りができないと『下手な鉄砲どれだけ撃っても当たらない』のが野鳥撮影ですので、動きをしっかり見てベストタイミングを予測してシャッターを切る癖をつけましょう。また、 EOS-1DX に限らずフルサイズの高速連写機は連写時のシャッター音量が70デシベル近くにもなり野鳥には多大なストレスを与えます。初心者にありがちなのが、野鳥がこちらに向かってきているのに不必要な高速連写でわざわざ鳥を遠ざけているという場面を数多く見かけますので、カメラを布で覆うなどの防音対策も考えるとよいでしょう。
- AF は 5D MarkV にはないシーン認識機能が搭載されており、スピード&被写体追従能力はキヤノン機でもピカイチの性能です。ただし、被写体が小さかったり、背景と被写体の色が近い場合には上手く機能しないので過信は禁物です。8Fでも中央1点でAFが使えますが、テレコンを使用しない F5.6+7D の方がフォーカススピードが早く更に19点AFが使えるので、 EOS-1DX のメリットはファインダーの見易さ(ブラックアウトの短さ)と秒間コマ数、ISO12800以上の超高感度画質くらいです。対距離解像力など7Dのメリットも踏まえて、どちらを使用するか考える必要があります。
総括として、 EOS-1DX は高感度・高速連写・優秀なAFを備えている半面、解像力に劣るセンサーというデメリットがあります。そのため、野鳥撮影ではテレコンを使用せず&トリミングをせず撮影できる状況まで、どこまでもっていけるかという極めてレベルの高い下準備が求められるカメラと言えるでしょう。またシャッター音がとてもうるさいカメラなので 近接して撮影する際には防音対策もあわせて考える必要があります。 EOS-1DX は初心者でも撮影はできますが、やはりその真価を発揮するにはそれなりの技量が求められるカメラと言えるでしょう。
まとめ
EOS-1DX | 超高性能だが、野鳥との距離を詰めないと真価を発揮できない上級者向カメラ |
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EOS 5D MarkV | 高画質を極めたい人に。静音連写モードの静かさは野鳥撮影に最適 |
EOS 7D | 対距離解像力、高速連写、多点AF、低価格と隙がない万人向け野鳥撮影カメラ |
EOS KissX6i | バリアングル液晶でのローポジション撮影は魅力。エントリーモデルだが侮れない |
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