野鳥撮影でのカメラシャッター音量
sponsored link
このカテゴリでは、カメラのシャッター音量について実際に測定したデータを元にお話していきます
野鳥は非常に音に敏感な生き物ですので、出来る限りシャッター音は小さく静かに撮影できるのが望ましいのですが、構造上ミラーやシャッターが上下して撮影しなければならないために、どうしてもその作動音が発生してしまいます。最近のカメラではライブビュー機能や静音撮影機能などを搭載したモデルも増えてきましたので、実際にその音量を測定する事で、野鳥撮影のカメラ選びの参考になればと思います。
測定方法
- 静かな夜の、自宅内物置き部屋にて測定
- キヤノンは『 EF400mm F2.8L IS 』、ニコンは『 AF-S ED 400mm F2.8DU 』を装着
- レンズフード先端の先にデジタルサウンドメーター(騒音計)を設置
- シャッターを切った時点での最大デシベルを各ドライブモード3回ずつ記録
- 連写は各カメラの最大秒間コマ数にて測定
- 音の大きさの単位デシベルのおおよその目安
- 120デシベル : 航空機のエンジンのそば
110デシベル : 車のクラクション@2m程度
100デシベル : 電車通過するガード下
90デシベル : やかましい工場内・カラオケ質・犬の声@5m程度
80デシベル : 電車の車内・練習中のピアノ@1m程度
70デシベル : やかましい事務所内・うるさい街頭・夜間のステレオ@1m程度
60デシベル : 通常の会話・静かな自家用車
50デシベル : 静かな事務所内
40デシベル : 静かな住宅の昼、図書館
30デシベル : 深夜の郊外、ささやき声
20デシベル : 樹木の葉のざわめき・置時計の秒針@1m程度
デシベルは対数を用いて出される数値なので、100デシベルは50デシベルの2倍の音の大きさとはなりません。おおよそのデシベル増加に対する倍率は以下のとおりになります。6デシベル違うと音量は2倍、20デシベル違うと音量は10倍にもなります。
- 3デシベルUP ≒ 1.4倍
6デシベルUP ≒ 2倍
12デシベルUP ≒ 4倍
18デシベルUP ≒ 8倍
20デシベルUP ≒ 10倍
40デシベルUP ≒ 100倍
それでは、注目の測定結果です!
単写の測定結果 (左より平均 ・ 1回目 ・ 2回目 ・ 3回目)
EOS 7D | 平均 51.8dB 50.0dB 53.3dB 52.1dB |
---|---|
EOS KissX6i | 平均 50.2dB 50.9dB 49.7dB 49.9dB |
EOS 5D MarkV | 平均 51.4dB 51.5dB 52.7dB 49.9dB |
EOS 5D MarkV 静音 | 平均 44.8dB 44.4dB 45.5dB 44.5dB |
EOS-1DX | 平均 55.2dB 55.6dB 54.0dB 56.1dB |
EOS-1DX 静音 | 平均 51.8dB 52.5dB 51.0dB 51.8dB |
D800E | 平均 53.3dB 54.9dB 52.4dB 52.6dB |
D800E 静音 | 平均 48.0dB 48.5dB 47.7dB 47.9dB |
D3 | 平均 55.0dB 56.2dB 53.5dB 55.3dB |
基本的にミラーの小さいAPS-C機が有利なものの、静音モードのある EOS 5D MarkV と D800E はかなり優秀な数値です。一方で高速連写機は単写でもかなり不利な結果になりました。
連写の測定結果 (左より平均 ・ 1回目 ・ 2回目 ・ 3回目)
EOS 7D | 平均 60.5dB 59.5dB 61.0dB 60.9dB |
---|---|
EOS KissX6i | 平均 55.3dB 55.3dB 55.5dB 55.0dB |
EOS 5D MarkV | 平均 58.9dB 59.2dB 59.0dB 58.5dB |
EOS 5D MarkV 静音 | 平均 49.4dB 49.4dB 49.5dB 49.3dB |
EOS-1DX | 平均 68.0dB 68.0dB 68.0dB 68.0dB |
D800E | 平均 58.6dB 58.7dB 58.8dB 58.3dB |
D3 | 平均 67.0dB 67.0dB 67.0dB 66.9dB |
EOS 5D MarkV の静音連写モードだけが50デシベル以下と圧倒的な数値を記録し極めて優秀です。音に敏感な野鳥に近接してライブビューでは難しいAIサーボやコンティニュアスのフォーカスモードで連写したいときには EOS 5D MarkV でなければ撮れないというシーンがありそうです。
一方で、EOS-1DX や D3 などのフルサイズ高速連写機は70デシベル近くの数値を記録し、野鳥には極めてストレスが大きいカメラであることがわかりました。70デシベルと言えば『 うるさい街頭 』レベルの騒音ですから、近接しての撮影は野鳥にまず逃げられると思って間違いないでしょう。
ライブビューの測定結果 (左より平均 ・ 1回目 ・ 2回目 ・ 3回目)
EOS 7D | 平均 44.4dB 43.1dB 45.9dB 44.3dB |
---|---|
EOS KissX6i | 平均 45.9dB 46.4dB 44.9dB 46.4dB |
EOS 5D MarkV | 平均 43.4dB 42.6dB 44.4dB 43.2dB |
EOS-1DX | 平均 48.8dB 49.0dB 47.4dB 49.9dB |
D800E | 平均 50.4dB 50.4dB 50.6dB 50.2dB |
D3 | 平均 55.7dB 54.5dB 56.0dB 56.7dB |
ライブビューはどの機種も静かですが、撮影するたびに余計なミラー駆動が発生するニコン機とEOS Kissシリーズは不利な結果となりました。本来はフルサイズで不利なはずの EOS 5D MarkV がここでもベストスコアをたたき出しました。EOS 7D と EOS 5D MarkV は45デシベルを切っており、音に敏感な猛禽類などをブラインドから至近距離で撮影しても気づかれにくいレベルの静音カメラと言えるでしょう。
sponsored link